都会のオアシス、屋上緑化は人を元気にする
日時: 2009年05月18日 11:08 | コメント (0) | トラックバック (0)
ヒートアイランド現象の特効薬
今年も熱い季節を迎えようとしています。地球温暖化対策が人類にとって危急の課題となっている中、都会のヒートアイランド現象を緩和する特効薬として国や自治体も注目しているのが、屋上緑化です。
今、屋上や壁面などの緑化事業で躍進中なのが東邦レオ株式会社さん。緑化事業の売上は、この3年間で4割増加しています。
「昨年のリーマンショック以後も、売上は堅調です。問い合わせの数も変わりません。最近は、海外からも屋上緑化の問い合わせがあるんですよ」と広報担当の熊原淳さんは言います。
屋上緑化を施すと、土壌からの水分蒸発や植物の蒸散作用といった潜熱効果(いわゆる打ち水効果)で階下の温度が劇的に下がり、空調の省エネによるCO2削減効果を発揮します。さらに「緑」は人を癒す不思議な力を持っています。「緑」を求めて人が集い、そこに会話が生まれることでコミュニケーションも活性化します。
人が幸福感を持つのに緑は不可欠
「本当にやってよかった」――東京・神田のオフィス街にある7階建ての貸しビル、豊島屋ビル社長の木村蓉子さんは、2006年12月に屋上庭園を実現して、こう喜んでいます。それまで何もないデッドスペ-スだった屋上に付加価値を付けて、テナントのオフィスワーカーの方々に有効利用してもらおうと考えていた木村さんは、屋上緑化を思い立ちます。
「神田は銀座や原宿に比べても特に緑がないんです。私は、人が幸福感を持つのに緑は不可欠だと思っています。‘幸せになる貸しビル’を目指しているので、どうしても緑を入れたいと思いました」
その想いを形にしたのが、東邦レオの当時の新入社員、ガーデンプランナーの大山雄也さんでした。木村さんの要望は、オフィスワーカーの人たちがお弁当を広げられるような空間で、日本人が憩う日本の原風景、だけど料亭のようにゴテゴテしない「和モダン」で、さらに元々豊島屋が酒問屋だったのでお酒をイメージするもの、できれば豊島屋ビルのロゴである枡形をデザインに入れ込みたい、というものでした。3社にデザインを依頼したところ、小川のせせらぎを取り入れた東邦レオの大山さんのデザインがまさに思い描いていたイメージにぴったり。木村さんはすぐに採用を決めました。
屋上に小川を流すなんて
「当時、40年近い既存ビルの屋上に小川を流すなんてありえない、というのが常識でした」と熊原さんは振り返ります。入社1年目だった大山さんだからこそできた大胆な提案でした。というのも屋上庭園を造るに当たり、建築基準法施工令による積載重量の条件が、1平方メートル当り60kgだったからです。小川を流すためには高低差が必要。しかし、隙間の部分をすべて土で埋めると積載条件を大きくオーバーしてしまいます。そこで土の100分の1と超軽量のかさ上げ材を用いるなど、最新の屋上緑化技術を活用しました。前例がないだけに、毎日が試行錯誤。大工さんと連日、意見を戦わせながら工事を進めたそうです。
完成した屋上庭園には、トンボや鳥が舞い降り、お昼時になると毎日のようにオフィスで働く人たちがグループで集まってお弁当を食べたり、3時ごろにはリフレッシュに体操をしにくる人の姿が見られるようになりました。また、新たなテナントが入居の決め手にしたのは、「屋上庭園があるオフィスビルなんて、他にはない」という理由からだったそうです。
このように屋上緑化は、電力消費の12%減少につながったばかりか、コミュニケーション・ツールとして、また営業ツールとして、豊島屋ビルの顔になりました。単なる緑化だけでなく、ビルの活性化にもつながったことが評価され、この物件は2008年10月、「屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール」(都市緑化機構主催)で特別賞を受賞しました。木村さんは、豊島屋ビルにさらに壁面緑化を取り入れる計画を進めています。
土のプロフェッショナル
豊島屋ビルの屋上庭園は、東邦レオが持つ技術開発力の高さを示すものでした。1965年に創業した東邦レオは、元々コンクリートに混ぜることで断熱・吸音効果を持つ「パーライト」という建築資材のメーカーとしてスタートしました。その後、これを土に混ぜることで土壌改良にもなることがわかり、緑化事業を始めたのが約25年前でした。東邦レオはコツコツと技術開発を続けて土の軽量化や、排水性の改良に努め、“土のプロフェッショナル”として独自の地位を固めます。建築と緑化の2つの事業部を合わせ持つ珍しい企業として、屋上緑化を手がけるようになるのは自然な成り行きでした。
といっても、当時は「屋上緑化」という言葉すらなく、ニーズはほとんどありませんでした。これが一変するのは、2001年に東京都が新築ビルで一定以上の面積を持つ屋上の緑化を義務付けてから。大阪や兵庫、京都などの自治体も追随し、さらに助成金制度などの後押しもあって、屋上緑化は認知され普及していきます。さらに、2005年の「愛・地球博」の頃から、既存のビルの屋上緑化にも火がつきます。国や自治体が地球温暖化対策の切り札として、屋上・壁面緑化を計画に充てこむ一方、環境意識の高まりと共に、それまで消極的だった企業のマインドが変わり、屋上や壁面の緑化をすることで環境に貢献したい、やるのは当たり前、やる以上は付加価値をつけたいという姿勢に転換しました。
「それまで自分たちが静かに行ってきた活動が、2001年からはぐぐっと見えない力に突き上げられている感じです」と熊原さんは語ります。豊かな街路樹を生み出す技術開発や路面電車の軌道緑化も含め、都市緑化をトータルで対応できるオンリーワン企業として、東邦レオの緑化事業部は80人体制と、他社にない規模。樹木医資格保持者は16人を数え、その視点は妥協しない技術開発に生かされています。
エコな事業で元気に
「しあわせ環境クリエイター」をキャッチフレーズに、今後も東邦レオによる屋上・壁面緑化は一層加速する勢いです。エコな事業で人を元気にする、元気のある会社には、常識にとらわれない、やる気のある新入社員にもチャンスを与え、任せる度量がありました。
関連リンク
東邦レオ http://www.ecogarden.jp/
豊島屋ビル http://toshimaya-buil.co.jp/top.html
