楽しくなければ会社じゃない
日時: 2009年01月09日 20:12 | コメント (0) | トラックバック (0)
面白法人カヤック
自らを「面白法人」と名乗る会社、それがカヤックです。ウェブ制作と制作運営を手がけるクリエイター集団。人を楽しませたい、その想いからまず自分たちが活き活きと楽しんで仕事をしているのが伝わってきます。給料なんてサイコロを振って決めるぐらいがちょうどいいと、ユニークな「サイコロ給」を実施していることは、多くのマスコミにも取り上げられました。
「とりあえず成り行きで始めようか」と10年前、学生時代の同級生仲間3人で立ち上げた、とカヤック代表取締役の柳澤大輔さんは振り返ります。何となく面白そうだぞ、という直感に素直に従って「単に興味があることを仕事にしたというのが最初の出発点ですね」。
起業の時から「何をするかよりも、誰とするか」がカヤック・スタイル。これは、楽しく働くための一番の秘訣は、一緒に働く仲間だと確信しているからです。「何をするか」を決めていなくても、「誰とするか」にこだわっていると意外と「何をするか」も決まってくるものだ、と柳澤さんは言います。
24時間遊び、24時間働く
遊びと仕事を両立させるのが理想の生活スタイル、という柳澤さんたちは「海や山で遊びたいから」という理由であえて鎌倉に本社を置き、由比ガ浜の海岸に「遊び場」を設けています。さらに海外に長期滞在できるよう、「旅する支社」として臨時オフィスをこれまで、タイ、ハワイ、イタリアなどに設置したことがあるそうです。
これはインターネットがあればどこでも仕事ができることを実証するための、彼らの挑戦でもあります。24時間遊び、24時間働く。遊びの中にこそ仕事のヒントがあり、仕事の中にこそ人生を楽しくするヒントがある、と柳澤さんたちは信じています。
遊び心は、あちこちに見られます。柳澤さんが最近書いた2冊目の本が『面白法人カヤック会社案内』。普通なら、もらってもさっと目を通しただけで捨てられてしまう会社案内。これを本にして売ってしまうという離れ業ができるのも、面白法人として会社に自信があるからでしょう。
また、すべての社員の名刺は漫画風の似顔絵を描いたもので、インパクトは抜群。
漫画を読んで育ち、ヒーローに憧れてきた柳澤さんたちは、カヤックはどこよりも漫画のヒーローのようにかっこいい法人でありたいと考えています。しばしば「それって漫画っぽい?」が 判断基準になるとか。柳澤さんは、『面白法人カヤック会社案内』の装画を漫画家の池上遼一さんに依頼し、「僕たちが会社を立ち上げたとき、その経営理念や戦略は、すべて漫画を軸に考えたといっても過言ではありません」と述べています。
経営理念は「つくる人を増やす。」
日本一漫画っぽい会社を目指すからといって、会社のあり方がいい加減なわけではありません。そもそも法人は何のために存在するか。その目的として、社会に貢献せずに自分が幸せになることはないと信じる柳澤さんは、「すべての法人は、社会に貢献するために存在する」と断言します。利益は目的ではなく、 目的を達成するための手段であり、目的を達成したあとの結果にすぎないとして、目的と手段を混同しがちなビジネスのあり方に警鐘を鳴らします。
そして、どういう方法で社会に貢献するかを示すのが経営理念であり、 法人の存在理由となるとして、カヤックは、「つくる人を増やす。」を経営理念に掲げています。
つくることで、自分が幸せになる自分なりの価値基準を見つめ、一人ひとりが幸せになる社会につながっていく。つくることで、 他人が喜んでくれることが自分の喜びになる感覚を知り、社会の喜びを生み出したいという気持ちにつながっていく。そして、つくることをつなげて世の中に広め、つくるのを忘れてしまった人の目を覚ます一方で、カヤック自身も楽しくつくり続ける。こうしてつくる人が一人でも増えれば、社会はきっと、よりよくなると柳澤さんは言います。「つくるという行為を通して、豊かなコミュニケーションを実現し、その結果、他人を幸せにして自分も成長していく、そういう集団になりたい」
量が質を生む
つくることにこだわる、カヤックのエネルギーは相当なものがあります。「凡人の僕たちにできること、それは数をうつこと」というカヤックの信条は「量が質を生む」。とにかくアイデアを出す。出し続ける。失敗もボツも恐れない。ユニークであり続けるために、新しいもの、世の中にないものを産み続ける。
この姿勢を具現化しているのが、メンバー11名による「BM11(ブッコミイレブン)」です。初年度の2007年に、「Web素行調査」など77の新サービスプロジェクトをリリース、さらに昨年の2008年には88個を完成、今年は99個を目指しているというから、そのペースは半端じゃありません。
「BM11では、ひとつのサービスをじっくり育てて運営するということはあまりやっていない」と柳澤さんは言います。「新規サービスの開発を行うラボなので、ぼこぼこつくってはリリースしちゃうんです」
THANKS
1998年に資本金3万3000円でスタートしてから10年あまり。事業は拡大して、「絵の測り売り」をするリアル店舗や飲食店のどんぶりカフェまで手掛けるようになりました。今年は昨年立ち上げた携帯事業が拡大する見通し。また、ネットとリアルを融合させることに興味があるそうです。
世の中の厳しい経済環境とは無縁のように見えますが、厳しさに向き合うことも忘れていません。従業員が増えて現在110名ほど。この規模で企業として成り立つかどうか、まだ実験中なので分からない、と柳澤さんは打ち明けます。無理なら無理でモデルを変えなければならないし、効率を重視した組織に変更することも考えると言います。
「このまま全員経営参加型の状態でフラットなままい続けられるのか、実験的なところはあります。会社も生きものなので、世の中も変わっていくし、これがゴールというのは、多分ないだろうなと思っているので、そこはそんなに心配していない。それにあわせて変えていけばいい」
カヤックの文化に、社員全員が参加して、自分が社長になったつもりで経営理念などについて振り返る「ぜんいん社長合宿」が年2回あります。2009年の年始の合宿では、「カヤックの正しい解散の仕方を教えてください」というお題を出しました。カヤックが解散するならどんなことを達成したときか、解散する際に今までお世話になった人への感謝の気持ちをどのように表すか、カヤックらしい面白い解散の伝え方を考えようというものです。
最もカヤックらしいサービスは何でしょうと柳澤さんに尋ねると、「THANKS」ですね、と答えが返ってきました。ウェブ上でいつでも誰でも「ありがとう」を投稿できるサイトです。「お金にはなっていないんですが、いいサービスだなと僕らは思ってやってます。人のありがとうを集める。単純にそれだけのサービスなんですけど、皆で見合ったりして温かい気持ちになります」
元気で面白い会社には、常に変わっていく姿勢と、感謝の気持ちを忘れない心がありました。自分を変える魔法の言葉、それが「ありがとう」ですと柳澤さん。「面白く生きるためには、自分を愛すること。まずは会社を愛する、自分の会社を好きになる。それが出発点です。」なるほど、これほど自分の会社を好きになれたら、それだけで幸せですね。
