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社内コミュニケーションは投資。効果は広告換算?

投稿者: 研究所 所員 日時: 2008年07月30日 00:00 | コメント (0) | トラックバック (0)


 訪問客に出す、お茶の入った紙コップに「おもしろおかしく」と印刷されています。この「おもしろおかしく」という社是が全ての基本という、元気な会社が京都にあります。思いっきりエキサイティングに働こう。その中で楽しさが見つかる。やりたいことをやることで、人生おもしろおかしく過ごせる、という考えに根ざしています。

 その会社、堀場製作所は分析・計測機器メーカーで、特に自動車排ガス測定装置では、世界シェア約80%を誇るリーディングカンパニーです。連結売上高1443億円、世界22カ国に、グループ従業員4697名を抱えています。自ら社員を「ホリバリアン」と呼び、「年次に関係なく、やる気のある人の個を活かす風土があります」とコーポレートコミュニケーション室の前野晃男室長は語ります。
 そんな風土を体現化するのがブラックジャック・プロジェクトです。トランプのブラックジャックで最強の「21」にちなんで、「21世紀に最強の企業を目指す」という意味を込めて1997年から始まりました。実はそれまで実施してきた様々な改善施策も思うように業績に反映されず、その原因が社員同士のコミュニケーション不足にあるのではないかと考えて、横のつながりを重視する策に転換しました。
 このプロジェクトは、部署の垣根を飛び越えて、各自で気付いたことを業務改善提案し、賛同する社員が自主的に集まって遂行していくやり方です。社長自ら推進室長となって本気を示します。現在、海外を含めた全グループに浸透する活動で、テーマは600を数えるそうです。昨年、同プロジェクトの10周年を記念して「ブラックジャック・ワールドカップ」も開催しました。
 ユニークなのは、同プロジェクトの表彰が、毎月1回全社員が参加する朝礼「全大会」で「プロジェクトX」調の再現ビデオを見ながら発表されることです。ビデオはプロジェクトメンバーが再現風に製作します。その製作には時間も労力もかかりますが、現場は時には生産ラインを止めてでも撮影に協力するそうです。
「社員に報告するためならば、皆協力しますよ」と前野室長は語ります。成果を全社員で共有することを重視する姿勢が、現場の隅々まで浸透しているのです。

 さらに徹底して「おもしろおかしく」を実践するエピソードがあります。2003年、創立50周年を迎え、世界中から社員とゲストが詰め掛ける大イベントが予定されていました。しかし、創業以来の赤字を記録し、業績が悪い中で莫大なコストをかけて記念式典をやるべきでないという意見が強くなりました。でもどうせなら「おもしろおかしく」、とにかく1日かけて徹底的に「笑おう」ということにしたのです。
 歌あり花火あり、新制服発表のファッションショーあり。目玉は狂言の鑑賞。大蔵流茂山狂言による「三番叟(さんばそう)」のほか、社員によるオリジナル狂言で皆、大笑いしたそうです。ランチでは世界の鍋料理10種類を集めて、各自食べたい鍋の席について、知らない者同士が同じ鍋をつついて交流しました。

 このように同社では、創業者のこだわりもあって、社内コミュケーションに特に力を入れています。社内報は社是「おもしろおかしく」から名付けて「Joy & Fun」、1969年以来週刊で発行し続けています。それでも「情報がもっと欲しい」という欲張りなホリバリアンのために、イントラネット社内報「ザ・ヨクバリアン」で量とスピードを補完しています。好評なのが社員同士がリレーで紹介しあう「顔マラソン」という企画。顔写真と名前が「Joy & Fun」で紹介され、「ザ・ヨクバリアン」で二人のメッセージが交換されます。
 社員間で「おもしろおかしく」を共有する。共有する場を作り、維持することに並々ならぬ時間と労力を費やす。社内コミュケーションという、売上に直接結びつかない、いわば業務以外で人と人をつなぐ取り組みに同社がこれほど尽力するのは、それが投資活動に他ならないと信じているからです。根底にはインターナルブランディングという考えがあります。会社の価値を社員に浸透させることで人財(同社では、人を材料ではなく財産であるとしています)教育が充実するだけでなく、魅力的な社員へと成長し、その社員に触れた人が同社を魅力的な会社として知る、つまり、社員一人一人の口コミで最大の広告効果を上げることができるのです。実際、堀場製作所は社員4000人が1日1人と接すると年間4億3000万円相当の広告費に匹敵すると試算しています。

 堀場製作所では、夏は恒例の本社屋上ビアガーデンがオープンします。毎年新入社員が企画運営するそうです。ここにも社員間のコミュニケーションを何よりも大切にする姿勢が現れています。社員がおもしろおかしく、コミュケーションを活発にすれば、なるほど会社も元気になりますね。

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